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I get lost. I have strayed into deep place.

秋ど真ん中である。あれ?冬の入り口か。車窓の景色が美しい。


川を渡る。色づいた葉が落ちて、枯れかけたすすきの無彩色が美しい。しゃらしゃらとする音に、見上げれば水分の抜けた葉が集団でこぼれ落ちる。昨日の続きのような支度をして玄関を出ると、あらためて気温の低さにびっくりする。 頭よりも体は正直だ。冷えれば足もつる。ええと、原因はビタミンK不足?ビタミンKは、何から摂取できるんだっけ。

食事は野菜から摂り、次にたんぱく質、それから炭水化物。知っていますよ。太らない食べ方。けれどやけにコメがおいしいんです。キャベツより先にごはんからいっちゃうんです。それでは痩せませんね。
正座する。足がしびれる。足腰の弱体を痛感する。いや、足に乗せる体が重いのか?ちょっと体、私そのものなのに、最近状況報告を怠ってませんか。物事がうまくいく原則は、体調管理を含めた現状認識です。切実ですよ。ご存知のくせして適切な指令を出さないなんて、業務怠慢ではないですか?…そうか、年取るってこういうことか。

月1でコーチングレッスンに通っている。移動中に地図を眺める。景色を眺めながら、今いる場所を確かめる。この刹那、通り過ぎる場所は何処か、降りる意志さえあれば出会える歴史はあるか、眼下を流れる川の名前を確かめる。名前の由来に思いを馳せる。実に楽しい。 レッスンの場は、地下鉄出口から3分…のはず。目の前に広がる未知の風景。ここはどこ?行き先はわかるのに現在位置だけ不明。3車線を走る車が自信満々で通り過ぎる。みんな行き先に向かって、明確に明瞭に動いている。びゅんびゅんと自信満々だ。いいなあ、いいなあ、心底うらやましい。

グーグルマップ君にナビを頼む。
ん?到着予定は25分後?3分で着くはずだぞ。トンネルなんてくぐらなかったぞ。徒歩で首都高になど乗れないぞ。グーグル君、ちゃんと私を見てる?機嫌悪いの?どういうことなの?ため息交じりにタクシーを捕まえる。「ここらへんなんですよねえ」と言われ、降車すれば、今度は建物の区別がつかない。電話をしてピンポーンとチャイムを鳴らす。「何度も来ていて、わからない人いないわよ」と、先生は美しく苦笑する。
帰り際、「ここと曲がり角のセブンイレブンを写メして帰りなさい」と、見送りに来て下さる。優しさが身に沁みる。でもね、先生。曲がり角のセブンイレブンが見つからないんですよ。一生懸命セブンを探して、また迷うわけですよ。先生には言えませんが。
なぜ、皆さんが簡単に見つけるものが、私には見えないのでしょう。この“見つからない癖”はなんとかなりますか?成長を切実に望むのに、どうしてうまくいかないのでしょう。直観と嗅覚で、実務的な準備を疎かにした報いでしょうか。今までの来し方が原因ですか?困ったなあ。


さて帰らなくちゃ。お土産は限定販売のピスタチオケーキだ。最近、元気のない友人と約束したのだ。…案の定、ショップを見つけるのに40分かかる。何度もそばまで来て、進み切らずに方向転換して、結果同じような道筋をぐるぐる繰り返し、このザマである。
時代の要請は働き方改革、令和は効率性を求めている。迷走ばかりの私は、時代についていけるのだろうか。
まあ、なんとかなるんじゃないの?車中でいただくピスタチオが、甘く楽観的に今日の私を癒す。そんなんで、腹部だけが順調に成長していくのである。