スキップしてメイン コンテンツに移動

投稿

11月, 2022の投稿を表示しています

telephone Ring Sound

電話が鳴る。担当者宛てだ。私宛のものは少なくなった。それぞれがきちんと成長している証拠。喜ばしいことだ。 進んで取らなくなったものの、たまに受話器を取ると営業の電話だったりする。 「社長はいらっしゃいますか」と尋ねられ、「なんでしょう」と返すと、お勧めしたいとっても良いものがあるとかなんやら言われ、再び「社長をお願いします」と畳みかけられる。 「社長は私です」と、わざわざ答えたくはないし、嘘つくのもなんだしなあとつらつら考えながら「間に合っています」で切り上げようとすれば、みなまで言わないうちにガチャンと切られる。ノルマに追われ、毎日たくさん架電するのだろう。そりゃあクロージングまで考える余裕はないだろうなあ。 わが社のことを、ちゃんと調べてから掛けてくる方もいる。「……社長はいらっしゃいますか」と名指しで呼ばれ、「はい、なんでしょう」と返せば、怪訝な声で「ですから社長をお願いします」と来る。電話の主は私の声じゃ満足しないらしい。なのでこちらも「私ですが」と答えるのをすっ飛ばし、「ですからなんですか」と応答する。“社長は男性”というバイアスは、きっと日本人にありがちかも知れないな。確認してくれればこちらも気持ちよく対応できるのにさと、もんもんしながら受話器を置く。 時間外とか休日とかに、かかってくる営業電話もある。“自分たちをブロックする事務員は、もう帰ったであろう作戦”なのだろう。戦略はひと工夫されているのに、ひと手間プロセスを省いちゃっているのと、日本的バイアスのせいで、営業さんは目的を達成できない。やっぱり電話営業は大変だ。 ひと昔前、ふた昔前? 秘書だった頃には、様々な電話を繋いだ。声のいい人、気持ちのいい人、何度も粘り強くかけてくる人、居丈高な人、裏腹な人、様々な人がいた。自分の判断でブロックする電話も多かった。個人的な親しみを装って打破しようとする人の作戦にまんまと乗ってしまうと、あとから汲々と叱られた。名前だけではなく、“どこ”の“誰さん”まで確認し、不審に思うと“差し支えなければ”の枕詞つきで、要件迄突っ込んで社長に繋いだ。 声だけのやりとりではあるが、そのうち親しみが伴ってくるやりとりもあって、取り次ぐ前に世間話なども交わすようになった。積み重なった親密さがストロークするそんなパイプ役は、見えない相手にもきちんと自分を認知さ