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Masques were performed at…

雷の夜である。打ちつけるような雨で空気がひんやりとした。光とともに雷鳴が轟く。季節が早まっているのか、大気が不安定なのか、落ち着かない天候である。 テレビのリアリティ・ショー番組に出演していた22歳の女性がSNSでの誹謗中傷を苦に亡くなった。 生前の彼女を存じ上げないが、画像で見る姿には生命力が迸っている。眩いばかりのこの命を断ち切るには、どれほどまでの苦しさが心を支配したのか。 「他人が作る自分像に支配されるな」言うことは簡単だろう。それで救われる刹那もあるかも知れない。しかし、どんなに強くても、果てしなく投げつけられる否定や悪意を流し続けることなど簡単ではない。ましてやまだ22歳なのだ。 人は自分の存在を認めてもらえると、世界が広がる。誰かに大切にされれば、自分を大切にできる。その逆も然りだ。なのになぜ、自分も相手も尊重することに気づけなくなるのだろう。他人をディスカウントすることに慣れてしまうのだろう。 人を殺してはいけない、知っている。人を傷つけてはいけない、知らない人はいない。なのに過ちを犯す。なぜだ?相手が自分を知らないからか?知っていても自分の言動が相手に伝わることを実感できないからか?そうだとしたら、相手だけではなく、自分の存在価値も尊重していないことになるのに。 彼女を誹謗中傷した人たちは、報道を受けてその誹謗中傷を削除した。 土曜日の朝、ニュースをつけると、リアリティ・ショーに彼女と一緒に出演していた男性がまっすぐカメラを見据えていた。出勤間際の準備の合間、見入った。弁明もせず、彼女のお母様からいただいた言葉を伝えるだけの彼の表情に釘付けになった。 誰かに何かを伝えることは覚悟が要る。傷つくことも怖いし、自分の視座が浅慮なことが知られてしまうのも恐ろしい。しかし、伝えたいなら、相手の目をまっすぐ見つめ、どんな感情をぶつけられても逃げない覚悟を持つべきだ。まちがっていたら、一度受け入れて練り直せばいいのだ。きついことを言うのなら尚更だ。 新しい生活様式が発表された。“ソーシャルディスタンス”、ウィルス感染拡大防止策である。 これからコミュニケーションの形はどうなっていくのだろう。闇は確かにある。思考を深くして、本当の強さを手に入れる方法を、探索し続けようじゃないか。 雷鳴が静まり、野良猫がしきりに誰かを呼んでい