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秘密の物語 転機のストーリーとCCI(キャリア構成インタビュー)

ある心理支援者の一説である。
“消化しきれない過去、衝撃的なことなど、一瞬を凝縮するようないわば写真のような形で脳にインプットされている。ショックなできごとなどをトリガーにして、脳は凝縮画像を閃光させる。強い記憶は点の形で保存されている。点の記憶がフラッシュバックを引き起こしてしまうのなら、いっそ点をつなげて線にして、潜在意識の奥底に沈めてしまおう。”
野球マンガの打線のハナシか? そんなことを思いつつ耳を傾けた。しかし、なかなかどうして核心をついていて、真理じゃないかと思うのだ。


「ライフデザイン・カウンセリング」を学んで半年になる。
ライフデザイン・カウンセリングは、その人独自のライフテーマ(その人が生まれてきてから今まで大事に育ててきた金の糸=その人らしさ)見つけ、物語(点→線)にして未来を創るといった手法である。
時流の激しいVUCAの時代、既存のキャリアコンサルティングだけで対応していくのは至難の業のように感じている。
新しいこの学びは、既存の理論とスキルから飛躍していてとても自由な感じがするけれど、だからこそ課題も大きく、表面的な学びだけでは習熟度を高めるのは難しい。前提条件として、コンサルタントの裁量というか、専門家としての自覚。それとクライエントに関わる上での覚悟が必要となる。

ライフデザイン・カウンセリングは3回か5回で実施する。前半は、1時間半程度のCCI(キャリア構成インタービュー)で、問いかけ(インタビュー)は5つ。
カウンセラーが問いかける形でクライエントが答えていく。その答えを核にして語ってもらうと、クライエントの小さなストーリーができあがっていく。
カウンセラーは、語られた小さなストーリーを繋いで、ライフ・ポートレートという大きなストーリーにまとめる。大きなストーリーには、クライエントの【金の糸】が、大切な価値観や生きる意味が顕れている。その人独自のライフテーマ【人生にとっての深い意味】が明らかになり、意思決定が促進されていく、そんな流れがキャリアデザイン・カウンセリングで見込める効果というか目的である。
カウンセラーが作成するライフ・ポートレートはあくまで仮のものである。仕上がったライフ・ポートレートについて、共有し、調整し、よりぴったりする物語に、クライエント自身が仕上げていく。

さてさて、本日はじめてライフ・ポートレートなるものをいただいた。今日は最終日で、カウンセラーさんがまとめてくれたポートレートを検討する回である。
学習期間も中間地点だし、是非体感してみようじゃないかとカウンセリングを受けたのである。

半世紀以上生きてきて、幼い頃の記憶をたどるのも大変だったし、なかなか答えられない質問もあった。はるか昔々の記憶を辿ったり、【今】に限定して応えなくちゃならない質問に、思いのほか時間がかかったり、なかなかに苦労した。
しかし、数々の置きっぱなしのままだった記憶が繋がることで、新しい意味付けや視点が変わった。ばらばらだったあれやこれやが見事につながった。意識していなかった自分に、でも出会ってみれば確かによく知っている自分とコンニチハすることができた。自分のことなんて、嫌気がするほど熟知していたつもりだったのに、まだまだそこに違う自分がいたとは、全然思いもしなかった。いやいや、びっくりした。平面的に捉えていた諸々のカタチも、なんだか立体的なまるで違うものだったことに気づいたりもした。

参考までに、質問はこんな感じである。
1.あなたの子ども時代のヒーローは誰ですか?
2.いつも見ている雑誌(またはTV番組、もしくはウェブサイト)を教えて。
3.今、好きなストーリー(本や映画、コミック)は何ですか?
4.あなたの大好きな名言・格言は何ですか?
5.幼い頃の思い出は何ですか?

質問自体は単純だが、答える側は心の奥から答えを掘り起こす必要がある。忘れていた傷に障ってしまうリスクもある。細心の注意を払いながら、でもきちんと効果的な結果を出すには、確かに能力も人間力も必要なのである。転機の迷いは、進路や就職、転職などを想像させるけれども、この手法は実はシニアにもとても人気があるらしい。

今日いただいたポートレートは、とても素敵だった。私自身のポートレートなのに、まるで知らない物語みたいだった。子どもの頃ワクワクしたアンデルセンの童話を楽しんだ後のように、読みながら今までの人生を慈しむこともできた。


プロであるなら、お金を払って知識を得て自己満足で済ますんじゃない。学んだものは血肉にして、自分なりの哲学を持て。知識の消費者にはなるな、知識の生産者になれ。先生は、いつも私たちにゲキを飛ばす。
先生、まだまだひよっこのプロですが、精進しますので宜しくです。誰かのなにかを手助けできますように。精一杯学びます。平面的な知識に甘えず、真剣に、そして誠意をもって、クライエントの方々と向き合っていくことを誓います。なんだか結婚式の誓いみたいだ。
興味のある方はぜひご連絡ください。私も担当させていただきますが、他のカウンセラーを紹介することも可能です。ぜひぜひ、どうぞ。