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チームイノベーションプログラム

チームイノベーションプログラムに参加させていただいた。 「社会経済情勢の激変する環境で、改善し、成長し続ける企業を育成・創出」するというスローガンのもと、昨年6月から参加した。今日はその成果の発表なんである。


目的は4つ。
• 自社の強みを再認識し、強みと環境の変化を踏まえた「一品(商品・サービス)」の変革
• 「一品」の変革を推進する社内チーム力の向上
• 仕事の効率を上げ、「一品」の価値を上げる効果的なITの導入
• 企業に寄り添い支援する商工団体の役割
月に2回、3項目の支援があって、異業種交流型で考える「集合型ワークショップ」と、そこで得た気づきや、取組みを具現化する「現地伴走支援」。もうひとつ他社の事例から課題を見つけて活用イメージを作る「IT活用講座」。
国の謳う「働き方改革」の具現化といったものだろう。良い企画だ。
社員に参加を促すと、社員は積極的に参加表明してくれた。嬉しかった。そして今日はみんなが9カ月間取り組んでくれた発表の日。でももう成長の効果はしっかり見せてくれている。
最初は、みんな自分の意見を表明するのに躊躇いがあったり、他社とのグループ組みに戸惑ったり、言いたいことが伝わらなかったり。大変なことも多かったよう。最初の課題がこなれた後は、中盤過ぎても課題はまとまらず、意見が割れるし、結果迷走してしまったりと、大変そうだった。
私はと言えば、傍目で見ているだけで、時折変化をチラ見して、やいのやいの言うだけの参加だったが。

発表会場に午後から入る。小さめだけど立派なホールだ。当社の発表は後半らしい。メンバーの発表が一通り終わったら、私も壇上に上がることになっている。発表するメンバーは4人。みんなが緊張の面持ちで、社内での表情とはだいぶ違う。しかし、頼もしいな。きりっとした表情である。いつも元気な現場リーダーの表情がガチガチ。「(緊張で)御目目が小さくなっているよ(笑)」と茶化しても上の空。手軽なガス抜きなど通用しない。真剣なんだ。


参加企業は10社。学習塾やユニフォームの販売会社、小売業、結婚式場、道の駅、車両整備の会社や、温泉販売、美容室などさまざまな業種。イノベーションは変革。多様化する社会構造や少子化問題、価値観とニーズの変化。どんなイノベーションが発表されるのだろう。午後の4時間。価値ある時間になること必須である。
全体の流れが説明される。プレゼンが一区切りつくたび、企業名が書かれた用紙と付箋が回ってくるらしい。そこにそれぞれが得た感想やエールなどを書き込む流れだ。最後は投票が行われ、上位3位が発表される。
トップバッターは、幼児からの教育支援をしている学習塾。問題を課題に展開して、得た成果とこれからの取り組みが発表された。立派だな、素晴らしいな。緊張よりは意欲が勝って堂々としている。成果に対する自信が上回っている。時間をかけて熟成させた目標と、そこに向かう姿勢の力。それを乗り越えて壇上に立ってい気高さが美しい。ねえねえ、ウチ、大丈夫かな。ちゃんと全部出せるのか? 焦りと対抗意識で揺れる自分と脳内対話しながらプレゼン資料に目を通す。

「唯一生き残れるのは、変化できる者である」。そんなことを言ったのはダーウィンさんだったか? こんなジェットコースターみたいに合理に走る今を生き残るには、変化していくしかないのだろう。従来通りじゃ乗り切れない。みんなが切実。国だって世界だって切実なんだ。藻掻いているのはウチだけじゃないと思うと、会場にいるすべての人たちに、心からの賞賛の思いが湧いてくる。
しかしだ。発表してゴールここで設けてしまえばそこまでだ。取り残されてしまう。継続が前提だし、今日の発表がスタートだし、この時間で得たことを取り込んでいかなくては。気を引き締める。回ってくる付箋に、同志同士のエールみたいな言葉を記していく。同志と認めてもらえる資格が、今の自分にあるのだろうか。蹲りたくなる弱さを見つめ、鼓舞する気持ちに変えていく。

うちは有料人材紹介と派遣の会社、職業訓練などの教育事業を行っている会社でもある。商品は人、人に仕事を紹介したところで終わりではない。材を提供しておしまいなら苦労はない。それでは不完全、未完結。
フルタイムで働くとなると、その時間は1日の3分の1を占める。この時間が安全・安定した状況となるように整えていくのが我々の仕事なのだ。それぞれの価値観がある。それぞれの働きやすさややりがいもある。それをフォローし、育て上げていく。キャリアアップも手伝っていかなくてはならない。大切なスタッフたちだ。企業にだって大切にしていただきたい。そうなれば、企業同士が良好にお付き合いしていくべきだ。それなら企業のニーズを存分に共有しあって、成果につながるお付き合いをしていかなければ意味がない。
月一でやってきた請負部門の研修会。毎月押しかけるように参加している顧客の経営会議。十分手も口も挟ませていただいてやってきた。
「うちはね、ほんとうは派遣会社じゃないの。人と企業を繋ぐ会社。キャリアや夢を繋ぐ会社。企業と利益を繋いでいく会社なの」。機会があるごとにみんなに伝えてきた。

さてさて、うちの発表タイトルは「あったかまるっとクリエート」。なんだか抽象的。なんだかちょっと心配。
緊張の面持ちでメンバーが発表する。PowerPointの頁が変わるたび、順繰りに発表者もがわっていく。いやいや。なかなか。手前みそだけど、日々私が伝えてきたことが、存分に入っている発表だ。手前みそ? そんなことない、なかなかに、いやいや、十分に、いや十二分に入っているじゃないか。
発表中、K女史が「社長に頼らないとなにもできないの? いやそんなこといない!」と言い出した。なかなかボリューミーな声で強く言い切りやがる。驚愕する。体内にアドレナリンが分泌してくる。すっげーわくわく。いいぞいいぞ。そうだね、そうだよ、そうなんだよ。舞台袖の待合席で盛んに頷く私を、県の職員さんが苦笑しながら見ている。
「社長ー」と呼ばれて壇上に上がる。マイクを持たされ、言い足りなかったであろうことを補足する。「みんな、すごいね!」「手前みそだけど」と理を入れた上で、壇上で社員を手放しに賞賛する。この成長の経過を知っていただいているであろうみなさんが目に入り、「ありがとうー」と手放しで感謝する。「成果が出たら、努力には昇給で応えましょう、いっそ賞与も思い切っちゃいましょうよ」。関係者に感謝の思いを思い切り放出した。

最後の発表は自動車整備企業。ちょっとやんちゃに見える男性群が、わちゃわちゃと壇上に上がってきた。参加当初は葛藤そのものだったという思い切った自己開示から始まり、それぞれが気づいたことや、それまでの短所やこれからの自分の課題や目標などを声高に宣言する。すごいな、勢いがある。自己開示のアファメーション。勇気と自信がなくちゃできないことだ。

終了後の投票時間。投票を終えたあとの待ち時間。隣のK女史が神妙な面持ちで、「ウチが優勝しちゃったらどうしましょう」と耳打ちしてきた。おいおい、嬉しくなっちゃうじゃないか。真剣に取り組んだ9カ月、そこで感じた手応え。表情は自信に満ちている。抱きしめてしまいたくなる。いやいや、それではセクハラ提訴されてしまう。静かに喜びを噛み締める。会場全体に共通の底流がある。それぞれの課題は全員の課題でもある。頑張っていかないとな。負けていられないな。うじうじと止まっていてはいけないな。

入賞は逃したけれど、メンバー自身が肌感覚で得たものは大きい。
発表の後、県職員さんが宣言する。「プログラムは終了しましたが、皆さんのスタートはこれからです」。。
イノベーションすごいです。おすすめの成長プログラム。すごい効果と効果に繋がるプロセスがあります。大切なものを自ら手に入れる環境がここにあります。令和5年度の参加、経営者の皆さん、ぜひご検討を!