
しもつけ21フォーラムに出かける。今月の講師はオタフクソースの代表取締役社長、佐々木孝富氏である。
「なんてったってオタフクソースが一番よ」と、生粋の北関東生まれ義姉のイチオシソース。コアなファンが多い背景に、独特のファン文化がある。今日は、そんな会社の社長さんのお話。席には、お土産品の「お好み焼き粉」と「ウスターソース」が並び、どうやらサービス精神がすごく豊富な方の様子。なんだかうきうきラッキー気分である。
講師登壇。オーラがすごい。って言うか、瞳キラキラ、発見力と好奇心が発露しちゃって、一目瞭然アクティブ社長。映し出されるPPT資料も洗練されて魅力的。コナモン愛が溢れすぎてワサワサと零れている。
スクリーンには日光工場が映し出されている。日光は水の豊かなところ、大室から森友をつなぐ清流が思い浮かぶ。
「製品も社員も愛してるんですよ、愛してるもんを大切にするの幸せなんですよ。思いついたことはカタチにして、残ったものは淘汰して、質と誇りを醸成するのが社長の仕事です」を真ん中に据えたお話である。装飾のヨケイモン言葉をそぎ落とし、際立つ表現。力を持った言葉は、迫力をまとって投射される。
そう、放たれる言葉は、煮詰めに煮詰めぬいた結実みたい。日がな365日、一日24時間、四六時中の3乗くらい、思いを重ねて凝縮した言葉。一つ一つが、研磨の登竜門を潜り抜けたメッセージ。熱量よね、愛よね、なんだかメッケモンみたいな一日だわ。そういえば今日の私、コナモンだの、ヨケイモンだの、メッケモンだの、モンモン言っちゃって、シンパシーを投げ込まれてるんである。
「何かを伝える」作業は技術がいる。
登壇者の話を求めて足を運ぶ者が大多数なら、場に合わせた話題でも十分盛り上がるし、会としては成功だ。
この「求めて足を運ぶ者」を市場に置き換えてみたらどうだろう。商品を自ら求める人々が会場を埋めたなら、それぞれ自ずから手を伸ばして、かごに入れたらレジまで運んでお金を払って帰っていくのだろう。その場に陳列しておくだけで。
そして、佐々木社長。生き生きと、話されるのはご自身の生き方そのもの。凝縮させた「主体」そのものをカメハメ波の乱光線みたいに放射する。
話術はもちろん、パッションとミッション、ぶれない目的、柔軟に変化を受け入れつつ絶えず調整される目標。ここで発露されるのは、常に考え、時間を重ねて考え、それを建設的に組み立てていった結果である。
漠然と自身を振り返る。「こんな感じのことができたら良いのに」は、いつまでたっても変容せずに、「こんな感じのもの」のままである。「こんな感じのもの」が発露するまでは小気味よかったのに、いつまでも形を変えずに日の目を見ない。下手したら、世界を刷新したような素敵なひらめき、思い付きは、いつしか忘れられてお蔵入りになってしまうことだってある。「漠然」の壁を突破してみたい。格闘してでも行き着いてみたい。
後半「家族経営」の話題になって、創業者の語録の一語「動きのない水は淀む、だから流れをとめてはいけない」の言葉があり、今、ここで感じた「水」のイメージが、根っこの部分で共鳴する。
創業者語録の「風通し」という言葉とともに「理念の浸透はDNAである」が力強くdeclarationされる。しびれるぜ。
グループの売上高、約250億円、社員600人強の根底にあるのは、ファミリー経営のルール「佐々木家の家族憲章」、騎士道でいう『ノブレス・オブリージュ』の精神である。小さな懸念を壇上に挙げて語りつくす。会社の核である土台に甘えや曇りを生まないための仕組みである。
企業にとって理念こそが核である。その核を短い時間で想起させる「思いの言語化」の持つ破壊力、波及力にビビってしまう。「思い」を洗いざらい外在化して、外在化された言葉たちを並べて分類し、さらにブラッシュアップして、端的な一語に凝縮する。その過程には、どれほどのプロセスがあるのだろう。そこでとどまらず、凝縮した思いをさらに深め、穿ち、本質の真ん中をさらに削ぎ落して削り出す。原石から自ら輝くダイヤモンドを並べたら、今度は大事なものを中心に据えて、方針、貢献、発展を構成していく。無限ループのような結晶、「愛」である。

思うことを中途半端に止めてしまってはいけないな。私の手探りはまだまだ、果てないまだまだの途中。夢を持つ、夢を育てる、それをカタチにする。それってこういうことなのね。市場でのオンリーワン、特殊性、それを育てるプロセスは、エベレストを登って降りて、また再び登って降りての繰り返し。ブラッシュアップとは、きっとこういうことなのだ。懸念を突き詰めて、風通しを良くして、恐れや疑念なども機会を作って、みんなで共有して、腹のなかに何も残さない。不可能に近い道は、やってみて見直して初めに戻ってリスタートして、それの無限の繰り返し。風通しを良くする行為は、勇気をもって信じること。
考えた風、行動した風、いかにその「風」にとどまって、ぐるぐる思い悩んできた。お金も時間も無駄に使って、手を動かせなかった時間が悔やむ。悔やんだところで仕方ない。そのぐるぐるの過程も、私にとって必要な軌跡だったのだと、これからの結果次第で思える日もきっとあるはず。
講演後、列に並んで名刺交換していただく。佐々木社長に「講演中、よく目が合いましたね」と言われる。気づかれましたか、我を忘れて引き込まれてしまったんです。
物を作るって良いですね。理念と行動の風通し。上昇しないわけがない。
とりあえず、思いや懸念をテーブルに並べてみます。並べて、眺めて、名前をつけて、漠としたもやもやを、壊してさらに砕いて原石を掘り出すところからはじめてみます。
倦んだり、飽きたりしがちな思いをまっすぐ見つめるとこからスタートですね。今日の私は幸運です。…そんなこと、恥ずかしくて面と向かって言えるはずもない。
なので今月のコラムは、2025年8月29日しもつけ21フォーラムの感想文となりました。なんか文面がミーハーだなあと思ったりもするけれど、これはもう、サザンのコンサートに行った後の気分みたいなものである。GreatでExcellent。もう、ミーちゃんハーちゃんになるしかないじゃないか。土曜日の夜に「もののけ姫」を20年ぶりで見て、高揚に拍車がかかってしまったんだもの。世界は大きく見なきゃいけないよね。そういう視点を持った感性と触れ合うことが、人生の大きな喜びだわね。
佐々木社長、ありがとうございました。あ、機会をくださったしもつけ新聞、若菜社長にもお礼を伝えなきゃ。世界は素敵です。ありがとうございました。